川前観音堂

尾花沢から西へ５キロほどのところに大石田町がある。
最上川の中流部に位置し最上川舟運が栄えた明治の初期まで最大の河港であった。
この町に２６番から２９番まで４ヶ所の霊場がある。
札所の間の距離が短いので順打ち逆打ちはどちらでもよいが大型車の場合は２８・２７・２６・２９番と巡拝するのがよいようだ。
大石田の町から最上川沿いに下リ道端にある２７番深掘観音を左に拝しながら３キロほど行くと最上川にかかる亀井田橋がある。 この橋を渡り切った左手の丘の中腹に観音堂がある。
あまり広くない境内からの眺めは豪壮である。切リ立つがけの下に最上川の急流がうねり曲って北に流れる。季節のよいときはのどかにうつるがみぞれふる冬の季節はどうであろうか。
戦後大石田町に疎開した斎藤茂吉はこう詠んでいる。

　最上川逆白波をたつまでに 　　　　　　　　　
　ふぶく夕べとなりにけるかも

猛だけしい吹雪の最上川である。