
川前観音から再び橋を渡って大石田方面へ1キロほど戻ると豊田の集落に人る。
右手杉林の中に深堀観音がある。ご本尊は聖徳太子の作と伝えられる聖観音である。
この地に安置されるまでにはさまざまな人の手を経た流浪の観音さまだ。
ご本尊はあまりにも転々とされたためか天井の裏板の上に安置されているのでご開帳は屋根替え工事の時だけおこなわれる。
現在の観音堂は元文元年(1736)建立されたもの。お堂正面に安置されているのは前立の観音像で両側には西国三十三観音の像が並んでいる。
戦後のことだがその観音像の一体が盗難にあったり、また堂守役が村の衆の輪番制になっているためふだんお堂には錠がかけられている。
お堂の左側に珍しい船絵馬が納められている。深堀は明治の中期まで最上川中流のすぐれた船着き場であった。